毎日が充実してた。
掃除、洗濯、夕食作り…そしてシンナー吸引。
よし君と一緒に住み始めた冬が終わり、桜の綺麗な春になった。
ワイドショーの桜の開花予想は関東八分咲き。
私はふと実家の最寄り駅前の桜並木が見たくなり、よし君に「車で桜並木が見たい!連れてってよ!」とお願いした。
よし君は「わかったよ」と車を出してくれて、私の気分はルンルンになった。
夜桜…車を覆うような桜のトンネルの中をゆっくり走行したよし君の車。
せっかく実家の近くまで出てきたので、別に用事があったわけじゃないけど家に寄ることにした。
家に着いて上がると父が「これ、一応受け取ったから」と中学校の卒業証書の入った筒を私に渡してきた。
「えっ?」私はすっかり卒業式があることを忘れてたので、理解は出来ても実感が湧かない。
母が「三村先生(担任)が大きな花束持って来てくれたのよ。のり子が居なくて残念そうに帰って行ったよ」と涙目で教えてくれた。
卒業証書は卒業式後、学校に呼び出されて両親が校長室で受け取ったと説明された時、私はなんて親不孝なんだろうと心が痛んだ。
もう行きたくても行くことが出来なくなったことを考えた時、ちゃんと学校行っとけば良かったなと寂しく感じたけど、同棲生活に満足していたから寂しい気持ちは忘れよう、今私幸せじゃんと自分に言い聞かせた。
そして、つるんでる仲間のことが気になった。
中学三年になってつるんでる仲間に「高校どうする?」と聞いたことがあり、何度聞いても周りの仲間は「進学?しないしない!」「高校行くわけないぢゃん!」と口を揃えて言っていたので、みんなどうしたんだろうと思った。
その週末、ラリパーティーで集まった仲間にどうなってるのか聞いてみると、なんとつるんでた仲間全員が高校に進学して学校に通ってるという話だった。
「つか、高校行かないって言ってたじゃん?いつ受験したの?みんな高校進学って…聞いてないよぉ」と置いてけぼりされた気分になった。
それでも高校生活より、同棲生活の方が私は幸せに感じたから、周りの仲間全員が高校進学してたことをあまり気にしなかった。
清佳はT高校の定時制に通っていた。
その日清佳は午前中からよし君ん家に遊びに来ていて私と清佳、2人で草をキメていた。
草でキマってるせいで冷えた蒟蒻ゼリーが異常に美味しく、美味しく蒟蒻ゼリーをむさぼるように食べてる自分達が面白おかしく、笑い転げていた。
夕方になり、清佳は学校へ行かなければならない時間になった。
清佳は「一人じゃ学校つまんないから、のり子も一緒に行こうよ!とりあえず出席だけとれば帰っても大丈夫だし。のり子も学食食べても大丈夫だし!」と言い、私はあまり乗り気じゃなかったけど草が効いてるせいもあり一緒に行くことになった。
T高校に着くと清佳は私を食堂へ連れて行き「のり子、ここで待ってて」と出席をとりに行ってしまった。
食堂は大勢の学生で溢れかえっていた。
定時制で制服じゃなかったから大丈夫かと思ったけど、金髪でよし君のダボダボで派手なチーマーみたいな格好の私は目立った。
みんながジロジロ見てくる。
「アタシ、ここに居ても本当に大丈夫なのかな?」と心配になった時、清佳が戻ってきた。
周囲の視線を集めながら学食を食べ、そのまま2人でよし君ん家に帰った。
ちゃんと中学校に通わなかった事は後悔していたけど、高校?んー…やっぱ通う意味わかんないやと思った。
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