よし君ん家はテレビ、冷蔵庫、電子レンジ等完璧に揃っていたように思っていたが一つ足りない物があった。
洗濯機だ。
乾燥機はあるのに洗濯機が無い。
よし君に「乾燥機あるけど洗濯機は無いの?洗濯物はどうしてるの?」と聞くと、洗濯物は週に二回よし君のお母さんが取りに来て持って帰り、洗って干した物を持ってくると説明された。
「えっ!?じゃあアタシ居たらまずくない?」と言うと「大丈夫だって!かぁちゃん洗濯物取りにくるのお昼の1時くらいだからのり子ちゃん寝室で寝てればバレないって! 」って言う。
電話でよし君がよし君のお母さんに、次いつ洗濯物取りにくるのかと探りの電話を掛けると明日取りに来るらしいとのこと。
バレたらどうしよう…
私が不安そうにしていると、よし君が再度よし君のお母さんに電話を掛けて「今、女来てっから。明日寝室で寝てっと思うから」と言ってくれた。
翌日、私が今か今かと寝室で息を殺して待っているとよし君のお母さんが洗濯物取りにやって来た。
マンションの部屋の鍵をガチャッと開け、脱衣所でゴソゴソ洗濯物をまとめて、バタンと部屋のドアを閉めて鍵をかけて出て行った。
私はホッとして寝室からテレビのある部屋へ出て行った。
よし君のお母さんが洗濯物取りに来るのが二度目の時、よし君が「のり子ちゃんが着てきた洋服も洗濯出しちゃおうぜ」と言った。
私はよし君ん家に来てから、ずっとよし君の服を着てた。
私が「まずくない?」と言うと「大丈夫大丈夫っ!この前だって女来てっからって言って大丈夫だったじゃん」とよし君に言われて、私も大丈夫かもと思ったのでよし君の洗濯物に私の洋服を混ぜた。
二度目に洗濯物を取りに来たよし君のお母さんは寝室で息を殺してる私に気づかず洗濯物を置いて、私の洋服の混ざった洗濯物を回収していった。
その夜よし君のお母さんから電話が掛かってきた。
よし君が「あっ!それ?彼女のだよ!…大丈夫だって!…ああ、一緒に住んでんだよ」話が長くなるにつれ、声を荒げて「ったく、わっかんねー奴だなぁ…問題ねーって!」と言い放った。
電話ではらちがあかないので、よし君の次の仕事が休みの日によし君のお母さんが話し合いに来ることになった。
よし君が仕事の休みの日、よし君のお母さんがやって来た。
よし君が「のり子ちゃんは何にも心配することないし、のり子ちゃんは寝室にいればいいよ」と言ったので私は寝室でよし君とよし君のお母さんの話に耳を立てていた。
よし君は自分が一緒に住みたいこと、私が毎日夕御飯を作ってることを説明したけどよし君のお母さんは「だって、あんたは20歳だけど彼女は未成年でしょ?2人がよくてもそれだけじゃ駄目でしょ?そんな事もわからないの!?」…ケンカになった。
よし君のお母さんが「あんた責任持てるの?」と言うと、よし君は「ああ持てるよ」…よし君のお母さんは「だったらその子の両親に挨拶しに行けるってことね?」よし君「ああ行けるよ」で話し合いは決着した。
「のり子ちゃん、こっちきてもいいぞ」とよし君に呼ばれたので寝室から出て行って初めてよし君のお母さんに会った。
私がドキドキしながら「どうも…」と挨拶するとよし君のお母さんは「のり子ちゃんだっけ?年はいくつなの?」と聞かれた。
どうしよう中学生だと言ったらマズいかなとも思ったけど嘘をついても仕方がないので「15歳です」と答えた。
よし君のお母さんは「ええっ?中学生!?」と驚いた。
そして「親御さんに嘉和が挨拶しに一緒に行くことを連絡しなさい」と言われた。
その夜私は「今、一緒に住んでる人がお父さんとお母さんに挨拶しに行くから」と実家に電話した。
数日後、私はよし君の車の助手席に乗り実家へ向かっていた。
よし君は仕事帰りで作業着だった。
「やっぱ私服の方がよかったかな?まっ作業着の方が仕事してるって感じだし大丈夫か」よし君も私も緊張していた。
家に着いた。
リビングにはお父さんお母さんが待っていた。
「どうも、今のり子ちゃんと一緒に住まわせてもらっている村上です。よろしくお願いします。」…よし君とお父さんの会話が始まった。
私は父がよし君と話をしてくれるかどうかが心配だったので、話を聞いてくれてることに安心した。
そして父も母も一緒に住むことを許してくれた。
理由は前みたく不特定多数の男の家を渡り歩いているよりは一人の人の家にいる方が安心だからということと、よし君が職人という3K(キツい、厳しい、汚い)の仕事を頑張ってるからということだった。
話題は私が毎日夕御飯を作ってることにも広がった。
料理、掃除はしてるけど洗濯機が無いから洗濯はよし君のお母さんがしてることも話に上がった。
開かずの間(よし君とガチャの誘いの電話で家に帰らなくなった私が、よし君と暮らし始めた頃、荷物を取りに昼間よし君に車を出してもらい家に帰ると、父が私の部屋のドアを木工用ボンドで接着してしまって部屋に入れなかった)となってた私の部屋を父が開けてくれた。
挨拶しに行って二週間程経った時、父が新品の全自動洗濯機を買ってよし君ん家まで運んできてくれたのだった。
洗濯機が来てから私の生活は、よし君と草(大麻)やシンナー吸いながら夜中の3時くらいまで起きてて、寝て、朝の6時によし君を起こして仕事に送り出し、二度寝して、午前11時頃再び起きて、ゴミと灰皿を片付けて、洗濯機を回し、干して、お昼御飯を食べて、ワイドショーを見たりゲームをやって、夕方4時に洗濯物を取り込み、畳んで、5時頃夕御飯の買い物に出掛け、よし君が帰る7時までに夕御飯を作り、よし君が帰ると2人で御飯を食べて、洗い物をし、夜10時頃お風呂に入り、夜3時くらいまでよし君とラリったりキマったりしておしゃべりする…という感じになった。
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