知君が先輩(みっしー)のネタ(覚せい剤)のデリバリーの手伝いを辞めて私ん家に転がり込んできたことで、知君はネタを引き(買い)に行くネタ元をイラン人のジミーに変えた。
以前、知君と後輩がジミーからネタを買う時に一万円札をコンビニでカラーコピーして渡したらジミーが怒り狂って後輩の車のボンネットに乗り、金属バットで車をボコボコにしたという話を聞いていたので、多分知君は、私と出会う前からジミーからネタを引いたりしてたんだと思う。
みっしーからネタを引く時は、私は私ん家で待ってるか、知君と一緒に車でみっしーん家まで行って車の中で待ってるどちらかだった。
どっちにしても、長い時間待たされた。
ジミーからネタを引く時は受け渡しだけだったから待たされることはなかった。
だから、ジミーからネタを引く時は私も一緒に買いに行くことが多かった。
ある日、ネタを体から抜いてた知君と私はネタを引きに行くことにした。
シビックに乗り込み、ジミーに電話を掛けて待ち合わせ場所を教えてもらい、そこへ向かった。
ジミーからネタを買った。
その帰り道、私はネタを引いたとき特有のトイレに行きたい衝動を我慢して早く私ん家に帰って、早く喰いたいそう思っていた。
すると、知君が「あ~腹痛が我慢できねえ。コンビニのトイレで喰うゎ」と言い、コンビニに寄って、ネタと道具(注射器)を持ってトイレに入っていった。
私は知君ズルいよ…私だって早く喰いたい…と思った。
知君に「アタシも喰いたいよ」と言うと、知君は「だって、のり、水なしじゃ打てないでしょ。家に帰ったら打ってあげるから、家まで我慢しな」と言われた。
知君は自分だけ喰って落ち着いちゃって、私には我慢しろと言う。
私に我慢しろと言うなら、知君だってコンビニに寄らないで我慢してくれてもいいのに…そう思った。
家に着いて私の部屋へ入り、私はそわそわしながら知君がネタを道具に用意するのを待って打ってもらった。
この時、知君はネタが絡むと‘自分がネタを喰う’のが一番になっちゃうんだと思った。
だから、みっしーの所に行くと帰ってこなくなるんだ…漠然とそう思った。
あるネタを引いた帰り道、知君が早くネタを喰いたいと急いで車を走らせていると高速道路でベンツが煽ってきた。
後ろでベンツが煽ってくるので、知君はわざと急ブレーキをかけた。
接触しそうになったベンツの運転手は急ブレーキをかけられたことで腹を立てたようで、今度は追い越し車線で知君の運転するシビックに幅寄せしてきた。
ギリギリまで幅寄せられた知君は「ったく!危ねぇなぁ!」と怒りを露わにして「のり。そこのダッシュボードに入ってる乾電池取って」と言ってきた。
「乾電池?」と探すと単一の乾電池が2本入っていた。
私は乾電池なんて何に使うんだろ?不思議に思いながら知君に乾電池を渡した。
知君は窓を開けるとベンツめがけて乾電池を投げつけた。
ベンツの窓ガラスはひびが入りベンツはプファーンとクラクションを鳴らして止まった。
でも、知君のシビックは止まることもなく、知君は何もなかったかのように車を運転していた。
私は‘乾電池なんて、このために積んでたわけじゃないだろうに’と知君の頭の回転の速さをすごいと思った、と同時にこの人には絶対にかなわないと悟った。
そのネタを引いた帰り道は、雨が降っていた。
時間は深夜3時頃、ジミーからネタを引いた帰りだった。
その時も車はシビックだった。
旧国道20号線を、早くネタを喰いたいと飛ばして走っていた知君のシビックを大型トラックが後ろから煽ってきたのだ。
知君はわざとスピードを落とした。
トロトロ走る知君のシビックにイラついたトラックの運転手は反対車線に飛び出してシビックを追い抜いた。
すると、知君も反対車線に飛び出してトラックを再び追い越した。
120㌔くらいで走行するシビックとトラック。
再びトラックが反対車線に飛び出してシビックを抜いたその時、トラックはハンドルをとられて右へ左へ穴を振りながら民家の塀に激突し止まった。
止まったトラックを追い越す時「のり。車止めて窓あけて指差して笑ってやりな」と知君に言われた私は、トラックの運転手を指差して爆笑してやった。
爆笑し終わると、知君は旧国道20号線からトラックじゃ入ってこれない細い路地に入って家路に向かった。
知君は「あのトラック、荷物積んでなかったから120㌔でもついてこれたんだろうな。でも、荷物積んでなかったから軽くて穴振ったんだろうな。馬鹿だよなぁ」と笑っていた。
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