よし君の家族関係は複雑だった。
よし君のお母さんは18歳でよし君を産みシングルマザーだったけど、よし君の叔父さん(本当のお父さんの弟)と一緒に暮らしてた。
そして、よし君は叔父さんが社長を務める会社で働いていた。
よし君は仕事で、社長の息子と扱われているのを不満に思っていた。
本当の息子だったなら仕方ないかもしれない。
でも、よし君の叔父さんはよし君のことを息子だとは認めていなかった。
よし君の不満が爆発した時、よし君ん家によし君のお母さんと叔父さんが来て、大ゲンカになったことがある。
私はよし君のお母さんに「のり子ちゃんは寝室に隠れてなさい」と言われたのでベッドの布団にくるまり、よし君と叔父さんのやりとりに耳を立てていた。
「なんでわかってくれねーんだよ!!」よし君の怒鳴り声が響く。
「俺はたった一言息子だと認めてほしいんだよ!!」とよし君は気持ちを叔父さんにぶつけた。
叔父さんは認めてはくれなかった。
取っ組み合いになり、叔父さんがよし君を息子だとは認めてくれないことを突きつけられたよし君は「もういいよ!!」と言い放った。
そして叔父さんは部屋を出て行った。
よし君のお母さんも帰ると、よし君は寝室で隠れていた私のところへ来て大粒の涙を流し「どうしてわかってもらえないんだろ」と子供のように泣いた。
そして「かっこ悪ぃな俺、女の前で泣くのなんて初めてだゎ」と泣きながら笑った。
私は「アタシがずっと一緒にいるからね」とよし君を抱きしめた。
まだよし君に住み始めた頃、よし君のお母さんが3千万の札束をもってよし君ん家にやってきた。
よし君のお母さんは叔父さんの会社の事務と経理をやっていたのだ。
もってきた札束は従業員のお給料だった。
「のり子ちゃんも給料明細を見ながらお金数えるの手伝って」と言われ私も一緒に数えた。
3千万なんて大金初めて見たけれど、自分で使えないお金なんてただの紙切れだと思った。
数え終わるとよし君のお母さんは、ひったくりにあわないようにとリュックサックに3千万を入れて背負い自転車でよし君の実家へ帰って行った。
よし君と一緒に暮らし始めて5ヶ月くらい経った時、よし君のお母さんが叔父さんとケンカして、大荷物と愛猫のマロンを連れてよし君ん家に家出してきた。
よし君のお母さんにはよくしてもらっている。
一緒に住むのが嫌とかではなく、ようするにシンナーが吸えなくなるのが嫌だった。
草(大麻)も少し臭うけどシンナーほどじゃない。
でも、よし君のお母さんは家出しちゃってるから行く宛もないので3人で暮らすことになった。
よし君のお母さんはソファーベッドの部屋に住んだ。
昼間、よし君のお母さんがいるからシンナーは吸えない。
夜中はよし君と草やシンナーを吸っていたけどシンナーの臭いは翌日まで残る。
私は段々、よし君のお母さんと一緒にいることがしんどくなり、とうとう実家に帰った。
実家の自室でシンナーを吸ってると、シンナー吸ってることが両親にバレて家にもいれない。
一週間ほどで家にいるのも限界になり、よし君ん家に戻る。
そんな私の行動をみていたよし君のお母さんに「のり子ちゃんはシンナー吸える場所を探してるんでしょ?」と言われてしまった。
そう言われた事をよし君に言ったら、よし君は激怒し、よし君のお母さんを叔父さんのもとへと追い返した。
よし君のお母さんの持ってきた荷物はそのままソファーベッドの部屋に置きっぱなしだった。
それでも、よし君のお母さんは私によくしてくれた。
シンナー吸ってても家事をちゃんとやっていたからだと思う。
にほんブログ村人気ブログランキングへこの記事が面白かったら拍手してね★
[11回]
PR