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.*フェニルメチルアミノプロパン*.~覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?~薬物乱用から断薬までの道
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学校へ行かなくなった私は、ある日母とショッピングに出掛けた。

帰りに行きつけのカラオケBOXに寄ったら‘アルバイト急募’という貼り紙が目にとまった。

「アルバイトしてみよっかなぁ」と私が言うと、母は「アルバイトしてみるのもいいんじゃない?」と言い、私はここぞとばかりにフロントのおばちゃんに「アルバイト急募って貼り紙見たんですけど、履歴書はないんですけど面接してもらうこと出来ますか?」と尋ねてみた。

おばちゃんは「店長は夜の9時にならないと店に出てこないから」と言い、私の名前と年齢を聞いて「明日の夜9時に履歴書持って来てくれる?店長、あなたみたいな子タイプだからきっと面接受かるわよ」と笑った。

そのカラオケBOXは昔からヤンキーのお姉ちゃんがアルバイトしてたことも知っていた。



翌日、面接はほんの三分で終わった。

18歳の誕生日がきたら遅番(夜9時~3時)で働くことが条件だった。

18歳の誕生日がくるまでは夕方5時~10時まで働くことになった。

時給は900円という好待遇だった。



面接した翌日から働き始めた。

そのカラオケBOXはカラオケBOXの他にビリヤードを運営していた。

ビリヤードの玉拭き、ブラシかけ、カラオケBOXの清掃セッティングや飲食物を運ぶなど、やる仕事はたくさんあった。

私が苦手だったのはカラオケBOXの飲食物の注文の電話だった。

電話に出て注文を聞きながら、注文されたものを筆記しなきゃならない。

でも私は、注文書ききってないのに「はい!」と返事してしまって結局何を頼まれたかわからないことが多々あった。

失敗もしてたけど、初めてのアルバイトはそれなりに楽しかった。



そんなある日、バイトが休みの夜、しゅん君から電話がかかってきた。

私はまた、走りに連れて行ってくれるのかなと電話に出てみると「のり子ちゃん、覚せい剤で少年院に入ってたんだよね?」と聞かれた。

「そうだけど。どうしたの?」と聞くと、しゅん君は「持ってるんだよね…ネタ(覚せい剤)」と答えて、一緒にやらないかと誘われた。

え?S(覚せい剤)あるの???

よっ君とSをキメて過ごした日々が蘇る。

やりたい。



しゅん君は車で迎えに来てくれた。

車でホテルへ向かう中、私の頭の中はよっ君との思い出が溢れていた。

ホテルに入り、しゅん君がネタの入ったポーチを出した。

そして、ネタの入ったパッチンパケを取り出した。

見てみると少量のネタが入っている。



え?これしかないの???

炙るには少なすぎる量だった。



しゅん君はポーチから採血用の太い注射器を取り出して、ネタを詰め始めた。

私はちょっと待ったをかけた。

「アタシ打ったことないし。炙れるもんだと思ってたから、ちょっと待って!」としゅん君に言った。

しゅん君はネタを詰めながら「炙ってたんでしょ?打っても大丈夫だよ!」と言った。



怖い。

看護婦でもなければ医者でもない人に注射されるのは怖いと思った。

どうしよう。



しゅん君はホテルのタオルを私に渡して「それで腕縛って」と言った。

私はドキドキしながら腕を縛った。

しゅん君が「うわぁっ血管細いなぁ」と言い「じゃあ刺すよ」と注射器の針をこちらに向けた。

私は恐怖で注射器を見れなかった。

チクッと刺されて、私の不安がピークに達した。



しゅん君「あれ?入らないや。もう一回刺すよ」それでも血管に入らない。

何度も刺されて、腕が痛くなった私は「もういいよ。しゅん君だけ打てばいい」ともう嫌だと言った。

しゅん君はネタでキマってるせいで、意地でも入るまで打つという勢いだった。

その様子を見て私はしゅん君の気が済むまで我慢するしかないと思った。



十数回注射器で刺された時、「ぁ。入った入った」としゅん君は言い「じゃあ、入れるね」とシリンジを押した。

注射器の針を抜かれるとともに私は座っていたソファーに倒れ込んだ。

量の入れ過ぎだった。



ズキズキ頭が痛い。

心臓が頭にあるみたい。

ソファーに倒れ込んだ私の様子でしゅん君も心配になったようで「少し入れすぎたかな…少し寝てれば大丈夫だよ」とソファーに倒れ込んだ私の頭をなぜながら言った。



後々、ネタを打つようになって、この時の量がハンパなく多かったと思い知らされたのだが、この時はそんなことわからない。

とにかく、具合悪いのをどうにかしなくちゃと思っていた。

ソファーに倒れ込んで10分くらいして、大丈夫とにかく起きなくちゃと体を起こした。



頭痛が段々弱まると自分がパキパキになっていることに気がついた。

口もカラカラに渇いている。

ガバッとソファーから立ち上がり、洗面台の鏡を見た。

目がガラス玉のよう。

「なにこれ!?パキパキ!!」と私が元気になるとしゅん君も安心したようで「よかった。じゃあ、俺も入れよう」と注射した。



しゅん君の腕を見ると、ひっかき傷みたいなのがあった。

注射痕だった。

私はえ?と思った。

しゅん君は立派なポン中だった。



私は少年院を仮退院して半年で、初めて覚せい剤を静注したのだった。



その後、2人でキメセクに走り、朝方しゅん君の車で家まで送ってもらった。



家に帰っても眠くならない。

今夜、アルバイト行かなきゃいけないのにとベッドの中で悩んでいると、真一君から電話がかかってきた。

「のり子ちゃん、カラオケ一緒に行かない?」私は「行く行く」と答えて最寄りの駅まで出て行った。



腕は昨夜しゅん君に注射器で十数回刺された痕が残っていた。

大丈夫かな?そんな心配はしなくてよかったみたいだった。



真一君が「のり子ちゃん疲れてる?」と聞いてきたので、私は「ちょっと昨日寝れなくて」と答えた。

覚せい剤を打ったとは言えないし、覚せい剤を打った事は私の心にしまい込んで真一君とカラオケを楽しんだ。


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