夜10時頃アルバイトを終えて店から出て歩いていると、中年のみすぼらしいおじさんが私のあとをついて来た。
歩幅を広く少し早足で歩いてみても、私とおじさんの距離は広がらない。
怖くなった私は立ち止まった。
そしたら、おじさんは私を追い抜き歩いて行ってしまった。
ホッと一息すると、おじさんの後ろから歩いてきた、男の人が「なんだぁ、なんかされちゃうのかなって思ってついて来たけど、関係なかったみたいだね」と私に言った。
私は「うん。ちょっと怖かった」と言うと「なんかされたら、ぶっ飛ばしてやろうと思ってついてきたんだよ」と言った。
「ほら!ちょっと用事があって、あそこに止まってる車に後輩と乗ってたら、変なおじさんについてこられてるのを見てさ、ぶっ飛ばすのにちょうどいいと思ってね」とさわやかな笑顔で言った。
「俺、知っていうんだけど…」と言われたので「アタシ?のり子」と答えた。
話すこと10分、地元が同じことがわかった私は「えっ!?じゃあ、市川君とかケンタロウ君とかまっぴとか知ってる?」と聞くと「いや。知らないなぁ」と答えた。
「俺、まだ用事があるから…携帯持ってる?」
「PHSなら持ってるけど」と連絡先を交換した。
家につくや否やPHSが鳴った。
知君からだった。
「通じるかと思って…なんでこんな時間にあそこにいたの?」
私はカラオケBOXでアルバイトをしていることを話した。
「次、いつバイト?よかったらバイト終わった後にご飯食べにいかない?」
事実上まっぴとは自然消滅していたので「明日バイトだよ。わかったぁ。ご飯行くよ」と答えた。
翌日、バイトが終わった私はルンルンで店を出た。
知君に電話すると、もう大通りに車止めて待ってると言った。
知君の車はディアマンテだった。
車に乗り込み近くのファミレスに行った。
ファミレスに着くと知君は助手席のドアを開けてくれた。
私はビールと唐揚げを頼んだ。
知君はイチゴパフェ。
さわやかな笑顔が安心感をあたえた。
私は変なおじさんがあとをつけてきた時、ショートパンツを履いていて、おじさんにあとをつけられている私を、知君は後輩と「プリンちゃんが危ない!」と助けてくれようとしたということを説明された。
お尻をプリプリさせてたからプリンちゃん。
私は笑った。
知君は当時26歳、私は「知君はどんな仕事をしているの?」と聞くと金融の集金をしているとのことだった。
仕事の休みも決まっていないとも言った。
それから、バイトが終わると知君とご飯を食べに行くことが増えていき、私は家に帰ることも少なくなっていった。
バイトが終わると知君が迎えに来て、ご飯を食べに行き、そのまま知君の車で知君が集金するのに同行する。
当然、アルバイトも休みがちになり、最終的にはアルバイトを辞めた。
アルバイトを辞める時、よくしてくれてた店長や従業員が私の乱れた生活を心配してくれた。
アルバイトの制服を返しに行くのは気が重たかった。
1日中、知君と行動することで親しくなった私は、知君にも「アタシ、覚せい剤で少年院入ってたんだよね」とよっ君の存在と自分の過去を説明した。
知君は「俺も元彼女のこと、まだ引きずってるんだよね」と言い、お互い寂しい者同士、付き合うかと言ってきた。
よっ君が出てきて、もし連絡がきたらその時はよっ君の元へ行くことを条件に私達は付き合い始めた。
よっ君を待っていたい気持ちは、もちろんあった。
でも、寂しくて知君と付き合い始めた。
私はこの時、この先待ちかまえている堕落への道に気がついていなかった。
にほんブログ村人気ブログランキングへこの記事が面白かったら拍手してね★
[10回]
PR