ネタ(覚せい剤)を喰い(打ち)始めて二週間がすぎた頃だった。
ご飯も食べずキメセク(キメてS○X)をし、キメセクが終わると、PlayStationのバイオハザードを知君がやり始めた。
私は「ぁ!そこの部屋まだ行ってない!」とか「ぁ!そこにアイテムがあるよ!」とか一生懸命知君のやってるゲームに口をはさんでいると、知君が「そういえばバレンタインのチョコは?」と聞いてきた。
ヤバいネタ喰っててバレンタインデーを忘れてた…
私は急いで身支度を始めた。
チョコ買いに行かなきゃと出掛ける準備をしていて髪をまとめていると、アレ?何これ!?私の頭に小さなハゲがたくさんできている。
「大変っ!知君!アタシ、ハゲできてる!!」と知君に言うと知君が顔色を変えて飛んできた。
「どこ?」と、知君はいつにもないくらい心配している。
私は「ほら!ココとかココ!」とハゲを見せた。
知君は「よかった…まだ小さい」と安心したように言い「あんま気にすんなよ。気にすると大きくなるから」と言った。
私は「うん…気にしないようにする…笑えるね!あはははっ」と笑った。
すると知君が「笑い事じゃないよ!」と声を荒げた。
「なんで?なんで怒るの???」と私は知君に聞いた。
すると知君は「前の彼女にもハゲできたんだよ…」と前の彼女の事を話始めた。
前の彼女は知君がネタを喰ってる事を知らなかったらしい。
知君がネタを喰ってる時にとる行動が、一緒にネタ喰ってる私でも理解不能で精神的にまいっていた。
前の彼女は知君がネタを喰ってる事を知らないということは、知君に相当振り回されてたんだということが手に取るようにわかった。
知君はネタを喰ってる自分のせいで、前の彼女にハゲができたと思ってる。
私が「大丈夫!すぐはえてくるよ!」と言うと、知君は「のりには前の彼女みたくなってほしくないんだよ…前の彼女の時は…」と沈んだ口調で話を続けた。
知君の話だと前の彼女のハゲは深刻だったらしい。
ウィッグ(かつら)をしないといけないくらい髪が抜け落ちたと説明された。
前の彼女の気持ちを考えると可哀想に思えた。
知君がネタを引き(買い)に行ってることを知ってる私は「ネタ喰ってるから仕方ない」と思えるけど、前の彼女はネタを知らない…なんで?という不可解な思いだけで知君と付き合ってたんだ。
すごいツラかっただろうなと思った。
でも、知君と付き合い始めて一緒に暮らし始めて3ヶ月くらい経った時に私は知君の前の彼女を見たことがあった。
知君とお祭りに行った時知君が「ぉお!ひさしぶり!元気にやってるか?俺は元気!じゃあな!」と声を掛けたのが前の彼女だった。
柔らかい雰囲気の真面目そうな彼女だった。
彼女の世界には『覚せい剤』はないのだろうと思った。
その時の彼女はウィッグじゃなかったことを思い出した。
「知君気にしすぎ!前の彼女髪はえてたじゃん?私は知君がネタ喰ってるから帰れなくなるのわかってるから大丈夫だよ」と知君に言うと、知君は「本当?大丈夫?のりのこともっと大事にしなくちゃな」と言った。
私は「ぁ!チョコ買いに行かなきゃ!!」とハゲの話を終わらせて、切れ目でフラフラな中デパートにチョコを買いに出掛けた。
私がハゲようが知君はネタを喰ったら帰ってこなかった…大事にしなくちゃなと言って、少しでも変わるならとっくに帰ってくるようになってるだろうしと私は知君の行動が変わらないことはわかっていた。
それでも、知君の事が好きだった。
惚れていたのだ…ダメ男にダメ女…そんな感じだった。
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