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.*フェニルメチルアミノプロパン*.~覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?~薬物乱用から断薬までの道
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家が引っ越すことになって荷物を引っ越し業者には頼まず、少しずつ運ぶことになって、丁度半分くらい荷物を運び終えた頃、新しい家にはオーブンが無かったので古い家で1人知君のためにパンを焼いていた。

一生懸命パン生地をこねていた。

引っ越しの最中だったので、電話は古い家にあり繋がっていた。

パン生地をこねていると電話が鳴った。

急いで手を洗い電話に出てみると懐かしい声で「もしもし?のり?」と言った。

電話の相手はよっ君だった。

「え?よっ君!?」私の心は舞い上がった。

よっ君「元気にしてるか?」

私「うん。よっ君は?」

よっ君「俺?元気だよ」

私「もう、電話ないかと思ってた…」

よっ君「やっぱのりのこと忘れられなくて…」

私「よっ君の従姉妹から電話あったよ…」

よっ君「ぁあ…付き合ってる人いるんだってな」

私「うん」

よっ君「うまくいってるの?」

私「うん…でもね、最初付き合う時はよっ君が戻ったら、よっ君の元に帰るって条件で付き合い始めたの」

よっ君「うまくいってるならいいじゃん」


よっ君「今何してた?電話してて大丈夫か?」

私「ウチ引っ越すんだよ。新しい家は近くなんだけど今引っ越しの最中で…今は誰もいない…今彼氏にパン焼いてあげようと思ってこねてたんだよ」

よっ君「パン?俺の時には焼いてくれなかったじゃん」

私「ご飯は作ってたじゃん」

私「今の彼甘い物好きだからクッキーとかも焼くよ」

よっ君「今幸せか?」

私「よっ君…私S(覚せい剤)打ってるんだよ…だからよっ君の従姉妹から電話あった時、手紙書けないって言ったの…」

よっ君「そうなんだマジか…Sいつから打ち始めたの?」

私「少年院出て、半年くらいで…」

よっ君「少年院は辛くなかったか?」

私「うん。大丈夫だった」

よっ君「かぁちゃんから、のりが少年院行くって聞いて心配してたんだぞ…Sは今付き合ってる彼もやってるのか?」

私「うん。やってる」

よっ君「そっか…」

私「でもね、アタシちゃんと働いてるよ」

よっ君「おぉっ!そうなのか、なんの仕事?」

私はフロム中武というデパートでアクセサリーの販売をしていることを説明した。

よっ君「会いてーな…」

私「私も会いたい…今付き合ってる人に話してみるよ」

よっ君「おぉっ…わかった」

よっ君「この電話するのも迷ったんだけどな…のりが俺以外の奴と幸せに暮らしてるのに、俺が電話したことで壊れたらどうしようと思ってな…電話するの結構勇気いったんだぞ…でも、電話してよかったよ。のりの声が聞けて」

私「私から連絡とりたい時はどうすればいいの?」

よっ君「また、こっちから連絡するよ。かぁちゃんうるさいから」

私「絶対連絡頂戴ね…」

よっ君「そんな心配すんなって!また電話すっから」

私「わかった…」

よっ君「じゃあな」プツッ…ツーツーツー…電話が切れた。



私は高鳴る気持ちで舞い上がると同時に、知君になんて話そうかと複雑な気持ちだった。

とにかく、パンを焼かなくちゃとパンを焼きながらよっ君から電話が掛かってきた嬉しさと、よっ君から電話があって会いたいと知君に言わなきゃいけない重たい気持ちで心の中がぐちゃぐちゃだった。

この気持ちが整理つくまで、安易に知君によっ君の話をするのはやめようと思った頃パンが焼きあがった。

まもなくして、後輩と出掛けてた知君が私を迎えにきた。

知君と知君の後輩に焼いたパンを渡した。

どうしよう、よっ君から電話あって舞い上がってる私…と思ったとき知君に「なんかあった?嬉しそうだけど」と言われた。

私は「パンがうまく焼けたから」と言うと、知君は嬉しそうな顔をした。

私は、どうしよう…よっ君から電話があって会いたいなんて言えないよと思った。


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