中学三年の冬三学期、昼間は両親が仕事に行ってるので家には私一人。
テレビをボーっと見てた。
夏休みには夜遊びにハマってた子達も二学期の始業式からはなんだかんだ学校へ行っていた。
一番の不登校は私だった。
そんなある日、家の電話が鳴った。
昼の12時くらいだったと思う。
電話の相手はよし君だった。
「もしもーし!のり子ちゃん?嘉和だけどわかるかなぁ?」私は嘉和???誰だかわからないので「ごめーんわからない」と答えた。
私はその日、いつも以上に退屈してた。
電話がかかってきて、暇がつぶせる!って思っただけだった。
よし君とガチャの存在はすっかり忘れてた。
初めて会った日以降は、家出してて行き場がなくなった時に三日間くらいガチャの家に上がりこんだことが一度あったくらいだった。
その時は、GESSの腕時計やら100%シリーズのCDをねだって貰った。
それから数ヶ月が過ぎてたし、何度も遊んだわけじゃなかったからよし君とガチャのことは忘れてた。
私がよし君を思い出せずにいると「夏さぁ会ったのわかる?ほら駅前でさ!…俺とガチャでナンパしたじゃん!」と説明され、‘ガチャ’でようやく思いだした感じだった。
「あぁ!思いだしたよぉ!かなり前だし忘れてたよ」と答えた。
「つか、どうして電話番号わかったの?ガチャは?」と言うと「ガチャもいるよ!…ぉぃっ!ガチャ電話出ろよ!」とガチャに変わった。
「久しぶり」そう言ったくらいで、電話はまたよし君に変わった。
よし君と初めて長話しをした。
それまでは、最初のナンパで清佳とよし君、私とガチャの組み合わせになったこともあり私とよし君は話したことがなかった。
それまで、あまり話したことがなかった人だから私は少し警戒してた。
というか、正直ガチガチなA型性格な私は、楽天的で真っ直ぐ物事を話す典型的なB型性格のよし君は苦手だったのだ。
私がよし君の話すことに相づちを返すそんな会話だった。
段々、長電話で疲れてきた。
時計を見ると夕方の4時だった。
長電話の限界だった。
よし君は疲れるどころか話す内容がまだまだあるって感じだった。
しゃべり続けるよし君に「つか…何の用事で電話してきたの?話してて別に楽しいから構わないけど…電話掛かってきてから何時間経ったかなぁ?」と途中で、つか用事あるの?もう四時間も話してるけど…と切り出した。
四時間も長電話してたことに驚いたよし君は「もしかしてのり子ちゃん疲れてた?ごめんな」と言い「今から昭島駅(よし君とガチャの家の最寄り駅)まで出て来ないか?と誘いたかったけど言い出しにくくて…」と電話を掛けてきた理由をようやく言った。
今から!?かったるい…
四時間も苦手なタイプと長電話した上、雨も降ってる。
でもB型君にはかなわなかった。
「イイ物あるからさぁ!」と草(大麻)を持っていると言う。
私はナンパされてついて行った先で草を吸ったことがあった。
でも、その時はラリ子だったので草には惹かれなかった。
「アタシ、シンナーがいいなぁ」と答えると「シンナーもあるよ!だからおいでよ!」と言われた。
結局、遅くなってもいいからということで出掛けることになり、一人で行くのは嫌だったから家が目の前で幼なじみの夜遊び仲間だった加代子を誘うことにした。
夕方、加代子は丁度学校から帰ってきたとこだった。
加代子はよし君やガチャと会ったことはない。
とにかく「金持ってるし、部屋とかテレビとか超デカいよ!ブランド物も沢山持ってるし、欲しい物あったらもらえると思うし」一人で行きたくないので頑張って誘った。
加代子は、とりあえず一緒に昭島まで行ってくれると言ってくれた。
私も加代子も部屋着で、化粧もせずに昭島駅へ向かった。
私達の自宅から最寄りの駅まで歩いて20分、そこから昭島まで電車で15分くらい。
一人じゃないから行くのも苦じゃなかった。
昭島に着くまで最近の学校での出来事を聞いたり、よし君とガチャについて話した。
昭島駅に到着した。
よし君のマンションもガチャのアパートも昭島駅から歩いて5分くらいの所にあった。
駅に着いて公衆電話で「今駅着いたよ」と連絡すると、よし君とガチャはすごい急いで駅まで迎えに来てくれたみたいだった。
笑えたのが、よし君は私達が来るからとシャワー浴びたらしいんだけど、慌ててリンスを流し忘れたらしく「やべぇ!俺、リンス流し忘れたっ!のり子ちゃん達は先にガチャん家に行ってて!マッハで流してくるからさ!」と急いでリンスを流しに部屋へ戻って行った。
ガチャと加代子と私3人でガチャの部屋に向かった。
シンナーあるなら行ってもいいよって、家での電話で話をしてあったからシンナーがあると思っていた。
ガチャん家入ってすぐに「シンナーは?」と聞くと、シンナーは無いらしい。
私は「は!?シンナー無いの?」と不機嫌になった。
そんな重い空気漂う中、ガチャの部屋に「悪ぃ!悪ぃ!今度はちゃんとリンス流したし完璧!リンスってベタベタしてっからさ~気持ち悪いのな。リンス流し忘れたのなんて生まれ始めてだよ!あははっ♪」とよし君が入ってきた。
そして部屋の重い空気を感じたよし君が「何?どーしたの?」と聞いてきた。
私が「シンナーあるって言ったから来たんじゃん。シンナー無いなら帰るよ!」と怒ると、よし君は「シンナー無いけど草ならあるよ!ほいッ」とパッチンパケに入った草を取り出した。
私は草なんてどうでもよかった。
草出されても私の機嫌は直らない。
加代子はシンナーと草、どっちでもいいらしく無きゃ無いでもよかったみたいだった。
私は自分から加代子を誘ったくせに「私はシンナーがやりたかったから帰るよ!加代子はどーする?」と加代子に聞いた。
加代子は不機嫌な私に「のり子が帰るなら私も帰る」と答えた。
よし君が何故か焦った感じで「まーまー2人共そんなこと言わないで!とりあえず草吸っちゃおうぜ!」と言った。
私の不機嫌は変わらないけど、私から加代子を誘ったことを考えて、加代子に吸いたいか聞いてみた。
加代子が吸いたいと言ったので、今すぐ帰るのはやめて草を吸うことにした。
よし君がパイプを私に渡してきたから自分で火をつけて、吸って、息を止めた。
加代子は慣れてないのか吸ったことなかったのか、ガチャに火をつけてもらい吸ってた。
なんかいつもと違う組み合わせ。
それまではガチャと私がって感じだったから違和感を感じた。
なんかそういう流れに持ってかれてんのを感じた。
ふ~ん…どうやらガチャが加代子を気に入ったっぽいなぁと、ガチャの部屋のベッドの上に体育座りして黙っていたら、よし君が「ねーのり子ちゃん、まだ怒ってんの?機嫌直らない?」と話しかけてきた。
シンナーが吸いたい。
私は加代子が草吸いたいみたいだから残っただけで、機嫌が直ったわけじゃない。
「…だって、よし君がシンナーあるって言うから来たんじゃん」と怒った口調というよりは、もうどうせシンナー無いしという愚痴っぽい返事を返した。
まだ雨が霧雨か小降りの夜、なんでよし君と2人でシンナー買いに向かってんだろ?よし君達から電話掛ってこなければぁ~あ…つまらないなぁなんてゴロゴロしてテレビをボーッと見てる時間帯だなぁと思いながらよし君のGT-Rの助手席に乗っていた。
シンナーが無くて不機嫌だった私によし君が「じゃあさぁ、今から2人で新宿までシンナー買いに行こうか!」と言ってくれたのだった。
よし君のGT-Rはウーハーを積んでおり、走行中はCDの音量がハンパなかった。
よし君は草でキマってた。
よし君の車は速度メーターを振りきってて何㌔で走ってるのかもわからない。
夜の中央高速で、フルスモのGT-Rを200㌔以上で転がしているのだ。
本能的に心配になってきた私は、なんか軽すぎる雰囲気(良く言えば正直な裏表ない感じ、悪く言うと何も考えずに自分中心に楽しむ我が儘な感じ)で、車を転がしているよし君は心底俺は大丈夫!って思ってんだろうなと思った。
車はどんどん加速していく。
まだ仲のいい関係にもなったわけじゃないし、私が欲しがってシンナー買いに行くのに車まで出してくれてるわけだし、B型タイプの人って苦手だったから今まで極力関わり合わないできたし、なんか言って突然キレられる可能性も無きにしもあらずだし、かなり長い時間無言で200㌔オーバーしてるのが怖いことをどう伝えようか悩んでたら「のり子ちゃん?具合悪くなった?CDの音量下げていいょ」ってよし君は無邪気な機嫌のいい笑顔で心配してくれた。
気を使ってくれてるくらいならメーター振り切ってること言ってみても大丈夫そうと判断した私は「あのさ…音がってのもあるけどさ…いつもこんなメーター振り切るくらいで運転するんだ?あははっ!早すぎね?」と、一応「いつもこんなんだよ!」とかいう返事が返ってきても、笑って「そぅなんだぁ」で流せる様な言い方でメーターを指差した。
「えっ?…!!つか、メーター振り切ってんじゃん!キマリ過ぎてて、早く帰れそうとか思って時計ばかり見てたょ!あっぶねぇ。気づいてたんなら早く言ってくれよ!危ねーじゃんかぁ。教えてくれなきゃ事故ってたなマジで…ありがとな」ってよし君は言った。
6対4の割合で「いつもだから平気!そんなこと気にするなよ!」と返ってくると予想していたから、余計に掴みにくい人だなぁと、私の中でこの人よくわからない度が上がった。
私は「つーか、私はメーターが気になってて、最初出発した時は時間とか気にしてたけどさ、途中からは恐くてビビってて、時間や加代子とガチャの事なんて忘れてたよ」って言って、2人で笑った。
新宿からシンナーを買って戻ると加代子とガチャはかなり仲良しモードになってた。
帰りの車でワンティ(シンナーを染み込ませたティッシュ)を握ってラリってた私の機嫌は直ってた。
買ってきたシンナー2本は私一人しか使わなかった。
なんだかんだ言って、その日から3~4日加代子と2人でガチャん家で自由に過ごしてしまった。
昼間はよし君とガチャは仕事に行って居なかった。
その間は他の男から連絡入ってるポケベルをチェックしてはガチャん家にある電話を勝手に使って長電話したり、昼ごはん用にと仕事行く前に3千円ずつよし君とガチャが置いていってくれたから加代子と2人でコンビニへ行ったりした。
四日目に加代子が「のり子、いつ帰る?私はそろそろ帰んないと家がマズイよ。」と切り出した。
4人で草とシンナーを吸いながら「どうしようか…」と話し合い、最終的には加代子が1人で家に帰り、私はシンナーの臭いが気になるので残ることになった。
でも、加代子と親密になったガチャん家にはいずらかった。
それならとよし君が「のり子ちゃんさぁ、ウチくればいいじゃん!」と言ってくれたので、状況を考えてよし君の部屋に移ることになった。
加代子を駅まで送ってからガチャは自宅に戻り、私とよし君は2人で歩いてよし君ん家に向かった。
私は半年ぶりのよし君ん家に上がることに緊張してた。
ガチャん家も、1ルームだったけど服やら家具やらを見るとお金掛けてある方だった。
だけど、ガチャん家よりよし君ん家はさらにすごい。
20歳の男が一人暮らしをしてる部屋っぽさが全くなく、初めて来た日に清香と2人で「なんの仕事しているか?」の疑問が話に上がるくらいだった。
それまで、なんだかんだ言っても2人きりになったのはシンナー買いに行った道中だけだったから緊張した。
部屋に上がる時は緊張してるのがよし君に分かるくらいだった。
「のり子ちゃん?緊張してない?てか、普通に好きにしてていいからさ。そぉーんな顔してんなよぉー俺まで緊張しちゃうじゃん!」って言われた。
よし君の目的はSEXだと思っていたけど、よし君と2人でキングサイズのWベッドで一緒に寝てもよし君は私に手を出さなかった。
私、魅力ないのかな?とか考えたりした。
それから三日後、私が「いつまで居ていいの?」と心配そうに尋ねると、よし君は「いつまででも居ていいよ。のり子ちゃんがよければじーさんばーさんになるまで俺は一緒にいたいと思ってるから」と答えた。
その返事を聞いたとき、素直に嬉しいと思った。
そして、その夜初めてよし君と結ばれた。
Hの後、なんで三日間手を出してこなかったのかを聞いてみた。
理由は「もし手を出して、のり子ちゃんが怒って帰っちゃったら嫌だったから」と照れながらよし君が教えてくれた。
これが同棲の始まりだった。
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