ある日、昼間駅をふらふらしていると前から１人の女の子が歩いてきた。
すれ違い様、よく顔を見ても誰だかわからない。
すれ違った後、ぁ！野崎(美帆)さんだ！と思い出し、振り返って声をかけた。
美帆とは榛名女子学園で同じむつみ寮で一緒だった。
美帆の方が早く仮退院していた。
「野崎さん！アタシ！榛名で一緒だったじゃん！」と声をかけると「あっ！」と思い出してくれて、２人で喫茶店に入った。
榛名女子学園の思い出に花が咲く。
出て来てからのことも話に上がった。
美帆の彼氏がこの辺に住んでいるという話だった。
そして、連絡先を交換してバイバイした。
その後、美帆とは頻繁に連絡を取り合うようになった。
美帆の彼氏(まー君)の家にも行ったりした。
まー君ん家に行ってわかったことは、美帆には他に彼氏がいてふらふらしてるということだった。
美帆の実家は千葉県だった。
美帆は家に帰らず、男の家に入り浸っていたのだった。
ある夜、最寄り駅にある、清佳と加代子の働くカラオケＢＯＸで加代子とカラオケをしていた時、お酒を飲んでいた私はトイレに行った。
トイレを済ませ部屋へ戻ろうとすると、男に囲まれたパンツスーツを着た女の子とはち合わせた。
え？？？この子どっかで…と一瞬考え込んで固まってる私に「のり子！榛名で一緒だったゆうだよ！マヂ偶然！」と言われて、その子が榛名女子学園のむつみ寮で一緒だったゆうだとわかった。
「いつ出てきたの？」と聞くとつい１ヶ月前だと言う。
え？だってアタシが仮退院する時、ゆうは上級生であとは仮退院するだけだったはずなのにと首を傾げていると「あの後さぁ、大変だったんだよ」とゆうは言った。
私が仮退院する前、あだ名が五右衛門という天然パーマで、一見ハンデがあるように見える子が新入生としてむつみ寮に下りてきた。
その子は見た目でも周りからウザイと目を付けられてて、その上五右衛門は夜就寝時間になるとオナニーをして、ピチャピチャクチュクチュと音を立て、翌朝の掃除の時に大量のマン毛が散らばっている、そんな子だった。
ある日洗面所で乱闘事件が起こった。
ひとみちゃんって子が五右衛門の胸ぐらをつかみ蹴るは振り回すわ…警報機がジリリリリッと鳴った。
ひとみちゃんは駆けつけた男性教員に両脇を抱えられて引きずられながら発狂し、きさらぎ寮に連れて行かれた。
その事件以来、五右衛門は私が室長を務める部屋になり、私が仮退院する日まで一緒だった。
少年院はストレスが溜まる。
気性の荒い子は暴力的になることも多かった。
ゆうの話だと私が仮退院した後、ひとみちゃんが吉●先生をムカついていて、部屋の蛍光灯を取り外し、その蛍光灯で吉●先生を殴りつけたという話だった。
蛍光灯を取り外して殴りつける事を知っていながら、その事を先生に言わなかったということで、ゆうは５ヶ月間きさらぎ寮で丸一日正座させられたという話だった。
殴りつけられた吉●先生は、ゆうの担任だった。
上級生になって後少しで仮退院って時に事件に巻き込まれ５ヶ月も仮退院出来ず、食事と就寝時間以外は畳の上でずっと正座をさせられていたことをゆうが話した。
「災難だったね」その言葉しか出なかった。
ゆうとも連絡先を交換してバイバイした。
ゆう繋がりで同じむつみ寮だった南さんとも電話で話した。
ゆうとはこの先遊んだりしたけど、南さんとは家が遠かったせいもあり、電話しただけだった。
ゆうと遊ぶことになった。
ゆうの実家は埼玉で私が埼玉の待ち合わせの駅まで行った。
１時に待ち合わせをして私はゆうを待った。
しかし、ゆうは来ない。
30分、１時間、待っても来ない。
携帯に電話すると圏外になってる。
それでも待った。
５時間後、ゆうは来た。
「ごめーん。もう帰っていないかと思った。ごめんね」とゆうは言った。
ゆうもまた、覚せい剤をやっていたのだった。
ゆうは榛名女子学園の前に初等少年院にも入っていた。
それでも、覚せい剤をやっていた。
ゆうとカラオケＢＯＸに入り、カラオケが終わって帰ろうかと思ったら「ちょっと寄って欲しい所がある」と言われついて行くと、ゆうのお姉さんのマンションだった。
私が玄関で待っていると、ゆうが「耳掻き一杯くらいだよ！」と部屋を出てきた。
ゆうのお姉さんも覚せい剤をやっていたのだった。
ゆうは「一万円分買ったんだけど、半分は私が使っちゃった」と笑った。
そして、ゆうの知り合いの人の車で家まで送ってもらった。
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