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.*フェニルメチルアミノプロパン*.~覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?~薬物乱用から断薬までの道
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中等少年院送致の審判が下された1月10日。

審判で中等少年院送致が決まったのだから家庭裁判所から直接、少年院に移送されるのかと思った。

でも、私の身柄は練馬鑑別所に戻された。



え?少年院はいつ行くの?と思った私は鑑別所の職員に聞いてみた。

2~3日したら少年院から迎えがくると言われた。

そして、私は群馬県榛東村にある榛名女子学園に行くことが決まり、12日学園から2人の先生が車で私を迎えにきた。

車に乗り込むと手錠を外してもらえて、スナック菓子を貰った。

「当分、食べられなくなるからね」と言われたけど、その意味もわからなかった。



私は車で迎えに来てもらったけれど、他の子の話だと、電車で迎えに来て、電車だと手錠は外してもらえなく、周りの人の視線を集めながら学園まで移送される場合もあるそうだ。

その話を聞いて、私は車でよかったと思った。



学園に着いて、私服から学園の用意してあったジャージに着替えると、きさらぎ寮という独居房に入れられた。



鑑別所でもそうだったけど、榛名女子学園でも用意してある衣類はグンゼのパンツにワイヤーの入ってないおばさんブラジャーといった物だった。

用意してあった物は、my箸、下着類、ジャージ、運動着、枕、布団類、歯磨き粉や石鹸、ヘアーゴム、ヘアーブラシ、スリッパ、運動靴、雑巾などがあった。

ただ、鑑別所までは自分の私物(シャンプー・コンディショナー・歯磨き粉など)が使用出来たけど、榛名女子学園では全部学園が用意した物しか使うことが出来なくなった。

歯磨き粉なんて缶に入ってる粉を水で濡らした歯ブラシを付けるやつだったし、コンディショナーは仮退院の日までに一本だけしか使えないとのことだった。

え?こんな小さな容器のコンディショナー、半年以上もたせないといけないの?無理だよ、無理無理と思ったが学園で決められてることなので諦めるしかなかった。



他に鑑別所と違う事はラジオが流れていないことと、朝7時起床後のラジオ体操をすることなどで、独居房で一人葛藤してる時間が沢山あることは変わりがなかった。



榛名女子学園に移ってからも食事は、どんぶり茶碗にてんこ盛りの麦飯を無理して胃におさめていた。



きさらぎ寮に入って一週間がたった頃、初めて房から外へ出された。



婦人科診察だった。

私の他に、2人が診察室へ連れて行かれ1人ずつ診察をされた。

私は性病で泌尿器科にかかりクスコを使われた経験はあったが、本格的な産婦人科の診察台に座るのは初めてだった。

ウィーン…と音を立てながら両足が開かれていく。

恥ずかしい。

でも、私1人じゃない、他の子だっておんなじことされてるんだと思って耐えた。

その診察で一緒だった子は年は違ったけど、いわゆる同期の子だった。



朝の朝礼に参加させられるようになった。

朝礼は一月ごとに変わる歌を歌い、広いグラウンドを2周並んで走らなければいけなかった。

独居房にいた私が想像していた以上の数の女の子達が、同じ服を着せられていて、騒ぐ者もいなく、みんな黒髪で髪の毛をまとめていたので、そんな問題がある子達には見えなかった。



私は子供の頃から喘息で走ったことがなかったし、走る体力もなかった。

走るというよりは歩いてという感じで、周回遅れでやっと走り終わるという感じだった。

朝礼に出るようになって、無理やり走らされた私の脹ら脛と太ももはパンパンに腫れ上がり筋肉痛に悶え苦しんだ。



そんな中、私の担任の先生が決まった。

及●先生という女の品のある先生だった。

優しそうでしっかり者だった及●先生が担任になってくれたことは唯一の救いだった。



及●先生に内省ノートを渡されて「よっ君に対しての手紙とよっ君のお母さんへの手紙を書いてみなさい」と内省ノートに書くテーマを指示され、私はテーマになってる内容を深く考え書いた。



私はこのままの状態が続くと思っていたら、及●先生に「今日からむつみ寮っていう集団寮に移動になるから用意してね」と言われた。

え?集団寮???やだ!人付き合いをしなきゃいけない集団寮なんて行きたくない!

私は及●先生に「どうしても集団寮には行きたくない」と訴えたが、「変わってるのねぇ。普通ずっと独居房だった生徒は話し相手が出きるって喜ぶんだけど…」と言った。

「話し相手???少年院に入ってる子達と話したいなんて思わないよ!私はこのままがいい。このまま独居で1人で過ごしたい」と強く及●先生に言ったら「あなた、少年院に入った意味を考えなさい。少なくとも問題があるから少年院に来た事、その問題を治すために少年院に入った事をよく考えなさい。集団寮で人並みの生活が出来なかったら世の中ではもっと通用しないことを考えなさい」と言われて、私は集団寮に下りるしかなかった。



榛名女子学園には四つの寮があった。

やよい寮(年齢層が高い19歳~22歳くらい、もしくは再犯の子が入る寮)

さつき寮(やよい寮より年齢層が若い17歳18歳くらいの子が入る寮)

むつみ寮(年齢層が若い15歳~17歳くらい、もしくは身体にハンデがある人)

きさらぎ寮(新入生、仮退院まえの生徒、トラブルを起こした生徒、内省中の生徒の独居房)

年齢層だけで寮が決まるわけじゃない。

例えば、初等少年院で一緒だった子が榛名女子学園で再会しちゃった場合とか、その子の抱えてる問題で寮を振り分けられていた。



私がむつみ寮に下ろされる時、及●先生が「むつみ寮は年齢層が若いから、やよい寮とかさつき寮よりはトラブルが多いから気をつけて頑張りなさい。特に不正連絡(仮退院後に連絡を取り合うための電話番号交換など)を誘われたらすぐに私、もしくは当直の先生に言うこと」と言った。

不正連絡?そんな馬鹿なことする子いるの?少年院で友達作ってどうするの???と私は思ったし、実際私は少年院で不正連絡をしなかった。

でも、私がむつみ寮に下りてしばらく経った時、不正連絡で調査のため、きさらぎ寮に送られた子達がいたのも事実である。



むつみ寮に下りて最初にびっくりしたのは、食事の時だった。

きさらぎ寮の時までどんぶり茶碗の麦飯を完食していた私だったが、むつみ寮に下りてみると茶碗がどんぶり茶碗ではなく普通のサイズの茶碗なのに、みんなご飯に手を付けない。

流されやすい私はその空気に飲まれ、茶碗半分しかご飯が食べられなくなってしまった。

いわゆるダイエットってやつを、少年院に入ってるにもかかわらずやっていたのだ。

ご飯に全く手を付けない子もいれば、食べた物を食後にトイレで嘔吐する子もいた。



それを見た私は、ふと順調にいけば10ヶ月で仮退院…10ヶ月間どんぶり茶碗の麦飯をいい気になって食べてたらみるみる太ることに気がついた。

太りたくない。

そして、私も周りの子のようにご飯を食べることをしなくなった。



お風呂は夏は週3回、冬は週2回で大浴場で、入浴時間は服を脱ぐところから計りはじめて、髪の毛を洗う体を洗う、浴槽に浸かりたければ浸かり、バスタオルで体を拭いて洋服を着るまでの全部の時間が20分と決められていた。

シャワーは寮の人数が多いときは2人で1つのシャワーを使う。



入浴中も常に先生が様子をうかがっていて「●●!入浴時間あと5分!早くなさい!」と言われるような感じだった。

しかも、女の子の日の子は入浴出来ず、洗髪のみだった。



私はダイエットで食事を極端に減らしたせいで、生理の周期が狂い二週間生理になったりもした。

私は生理日が長くなるタイプだったけど、少年院に収容されてる女の子で生理が止まる、いわゆる無月経の子も多くいた。



集団寮に下りてから生活の成績がつけられるようになった。

少年院は刑務所みたいに満期が決まっていない。

刑務所で懲罰をくらうことを繰り返したとしても、刑期に満期があるので最悪でも満期には出所出来るが、少年院はそうはいかない。

1ヶ月の生活をトータルで審議し、各科目A~Eまでランク付けられて、1つでもC以下があると進級出来ない。

進級出来ない=もう一回1ヶ月をやり直しとなり、仮退院の予定日が1ヶ月延びる。

進級出来ないことをボツると言った。



毎日二時間以上ある体育の時間は、腹筋、背筋、腕立て伏せを何セットもやり、多かったのはエアロビクスだった。

音楽に合わせてみんながおんなじ踊りを踊っている。

最初は戸惑ったが1ヶ月、2ヶ月が過ぎる頃には私も踊れるようになっていた。

太りたくない。

エアロビクスを真剣に踊った。

中には、キツイから「足首が痛い」とか理由を付けて怠ける子もいたけど、私は太りたくない一心でエアロビクスを踊り続けた。



体育で一番キツかったのは12分間完走というもので、12分間走り続けなければいけない。

早く走っても12分間ゴールはこない。

新入生で体力が無い子にとっても12分間歩いてでも走り続けなきゃならない。

だらけたり、怠けたりする子がいると12分間が13分、14分、15分とゴールはやってこないのだ。

グラウンド10周と決まっているなら「あと何周…」と残りの距離が見えるから頑張れるけど、12分間ひたすら見えないゴールを目指して走るのは、慣れるまで精神力が必要だった。

走れなかった私でも、毎日二時間以上の体育の時間で体力がつき、12分間完走をズルしないで自分の限界で頑張ったことで、全生徒の中でもトップの速さで走る事が出来るようになった。

私は初めて「アタシって走れるんじゃん!!」と嬉しく思った。


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