知君もずっと仕事をしてなかったわけじゃなかった。
ある時はバーテンダーをやってる知り合いの紹介でお洒落なレストランで働いたことがあった。
その時もネタ(覚せい剤)を喰って(打って)キメセク(キメてS○X)をしては遅刻ギリギリで仕事に向かう時が多々あった。
時には仕事を休んだりもした。
ある日、ネタを喰って仕事に出掛けた知君から電話が掛かってきた。
レストランの営業前の清掃の時、ぎっくり腰で動けなくなり救急車で運ばれたという電話だった。
その一件があってから知君はレストランの仕事に行かなくなった。
運送の仕事をしてたこともある。
朝が早いため私は朝方4時頃から知君のお弁当作りに追われた。
知君はチキンライスが好きだったのでチキンライスをたくさん作った記憶がある。
あとはサンドイッチ。
よっ君にも作ったことのないお弁当作りをしていた私。
運送の仕事も結局はネタを喰ってしまって仕事に行かなくなった。
職人を始めた知君。
知君の先輩の会社だった。
断熱材(ウレタン)の職人だった。
ちょうどその時、私ん家が引っ越すことになって土地を買い新築の家を建てることになった。
前の家も改築したてで二世代ローンで建てたばかりだったのだがJR中央線沿線に建ってた家は工事にひっかかり立ち退かなくてはならなかった。
そして注文住宅で家を建てることにした。
そこで、私の父がせっかく知君が職人やっているならばと断熱材を知君の働いている会社に頼むことになった。
母の知り合いの建設会社に建築を頼んでいたから、知君も一緒に建設会社に行って話し合ったりもした。
そして、断熱材を知君の働く会社に請け負ってもらうことになった。
建設中、知君はウレタンを吹き付けて無事終わった。
それでも、知君はネタを喰っては段々仕事に行かなくなっていった。
そして、とうとう職人の仕事を辞めた。
新築中の家は電気配線は父が知り合いだった電気工事の仕事をしてる人のもと、ほとんどが父がやった。
知君が職人の仕事をやめてしばらく経った頃、ネタを喰ってほっつき歩いていた知君から電話がかかってきた。
涙が止まらないという話で眼科に行くという電話だった。
その数週間前、知君が職人の仕事を辞めるか辞めないかの時、知君が仕事でウレタンを吹き付けていたら目にウレタンの粉が入ったから痛いと言っていたことを思い出した。
私は病院に行った方が言いといったけど、大丈夫と言って病院に行かなかった知君。
涙が止まらなくなった原因はそれだった。
病院に行った結果、最悪失明するということで、知君は相当ショックだったらしく、電話を掛けた私に当たり散らした。
でも、目に入ったウレタンの粉を眼科で取ってもらい失明はしなかった。
知君が職人の仕事を辞めたことで、私の父と知君がうまくいかなくなった。
父も癌になって仕事がなくなり家にいる時間が増えて、知君は私ん家にいる時は私の部屋に籠もりっきりになり、段々私ん家より知君ん家でネタを喰うようになっていった。
ある時、一週間くらい知君ん家でネタを喰っていると心配した父と母が夜中に車で知君ん家まで来た。
その時は最悪だった。
知君は夜中に人ん家の前に車を止めてんじゃねぇと怒り狂い金属バットを片手に下りていき、父も車を降りてきた。
私は金属バットを手に出て行った知君を見ただけで怖くて外の様子を見れなかった。
あとになって母からこの時の話を聞いた。
知君の怒り狂った声で一階に住む知君のお兄さんが出てきて知君を止めに入り、車から降りた父を母が車へ戻るように止め一触即発の事態だったらしい。
知君のお兄さんと母が止めに入ってくれてよかった…心からそう思った。
知君の怖さを知っているから、父が怪我をするようなことにならなくてよかったと思った。
でも、結局心配してくれてる父と母より、私は知君を選んだ…そういうことになるんだろう…最低な娘だった。
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